第74回 税理士試験 財務諸表論 模範解答・解説・講評

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⑴ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、試験実施機関における本試験の解答、配点、配点箇所並びに出題の意図を保証するものではありません。
⑵ 掲載内容は2024年8月9日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。
⑶ 掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。
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第一問

問1 討議資料 財務会計の概念フレームワーク
 概念フレームワークの中から、第2章「会計情報の質的特性」に関する問題でした。特に、「信頼性」と「比較可能性」に焦点が当てられており、出題内容としては基本的な内容でしたが、理解不足の場合は、記述題のみならず選択肢題すらも誤ってしまいます。会計情報がどのような基本特性を持つかという理解は、財務諸表論を学習する上では避けては通れない重要事項です。前回も概念フレームワークからの出題がありましたので、今後は、概念フレームワークに関しても理解を通しておくようにしましょう。しっかり学習されていた方にとっては、⑴と⑵、⑶Ⓐは正解したい問題でした。⑶Ⓑの記述問題については、何を記述すればよいのか判断することが難しかったかもしれません。なお、「事実の同質性と異質性の峻別(つまり、会計情報の利用者が、同様の事実か異なる事実かを判断できること)」がキーワードになります。

問2 棚卸資産の評価等
 棚卸資産の評価に関する会計基準を中心とした問題でした。⑴~⑶の選択肢題は、基本的な内容なので正解できると思います。⑷は問題文の読み取りと解答方針を立てるのが難しく、何を答えればいいのか迷った方が多いと思いますが、シンプルに基本項目を記述すればよい問題でした。⑸は正解できた方が多いかと思います。⑹は、時価算定に関する会計基準を読み込んでいなければ難しいので、正解できなくても問題はありません。

 第一問のボーダーラインは15点位になると思われます。

第二問

問1 社債の発行差額に関する理論
 伝統的な会計学の論点から、社債の発行差額に関連した問題でした。近頃は、未学習の方が多い論点だと思います。⑴と⑵は一見同じような内容に見えますが、⑴は発行差額自体の性格、⑵は発行差額を社債発行差金として処理した場合の勘定科目の性格(すなわち「5要素」)を問うています。このような問題の場合は、とにかく書き始めるのではなく、始めに全体を見て回答内容を概算してから解き進めることが必要です。⑶⑷は本質的には定額法か利息法かの違いしかありませんが、償還期間が3年だということに気付けたかがポイントです。

問2 のれんに関する理論
 のれん及び負ののれんに関する全般的な問題でした。⑴は比較的容易に正解できたと思います。⑵は「収益と費用の対応」は記述しやすいですが、それ以外は難しいかもしれません。⑶は基本的な負ののれんの利益処理についての記述ですので、正解したい内容でした。

 第二問のボーダーラインは10点位になると思われます。

第三問

 会社法及び会社計算規則に基づく貸借対照表、損益計算書及び販売費及び一般管理費の明細並びに「税効果会計に関する注記」の作成に関する問題でした。今回の問題は、比較的容易に解答できる箇所(借入金、剰余金の処分、諸税金等)と、判断を要する箇所(現金及び預金、有価証券、有形固定資産等)が混在しているため、比較的容易に解答できる箇所から着手しているかどうかがカギとなります。さらに、メンテナンス原価については各費用からの振替、税効果会計については一時差異の発生要因を各論点から判断するため、各論点のつながりを意識する必要があります。

 第三問のボーダーラインは30点位になると思われます。

合格ボーダー
 全体のボーダーラインは55点位になると思われます。

本試験講評
 第一問と第二問の理論問題は、語群も多く、比較的解答しやすい部類だと思います。一方、記述問題はどのような内容を書けばよいかを把握することがやや難しく、見当違いの記述をしてしまった方も多いかと思います。しかし、税理士試験はそのような出題が非常に多いため、今後は、一問一答形式で暗記型の学習をするのではなく、問題全体からストーリーを読み、出題の意図を汲み取りながら解答するスキルも身につけていきましょう。
 第三問の計算問題は、比較的容易に解答できる箇所か否かの判断を身につける必要があると思います。そのためには、日頃の問題演習の際、解答までのプロセスを意識し、各論点のつながりを意識して問題に取り組むと良いと思います。

解答 – 解説 –


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