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1.総評
受験生の皆様、大変お疲れ様でした。
第一問の理論問題は、近年の理論問題と同様に2問とも事例形式での出題でした。それぞれの問に対する取扱いの解答する必要がありますが、概要などの書き方やどこまでを解答するかで悩んだ受験生が多いかと思います。
いずれにせよ、要点をしっかりと説明できていれば充分ではないでしょうか。
第二問の計算問題は、昨年に比べるとボリュームが多くなった問題でした。ただし、出題されている内容自体は基本事項が多く、正確に解答できたかが1つの分かれ目となると考えられます。
第一問 |
問1
贈与税の配偶者控除に関し、⑴贈与年の贈与税の取扱い、⑵贈与者の死亡時の相続税の取扱いを解答する事例形式の理論問題でした。
⑴贈与年における贈与税の配偶者控除の取扱い及び⑵贈与者の死亡時における相続税課税上の取扱いを解答する必要がありますが、取扱い自体は比較的わかりやすい問題でした。
それぞれの金額を確実に正答した上で、関連する条文などを正確に解答できているかが1つの分かれ目になるのではないでしょうか。
これらの点を考慮して、問1の合格ボーダーラインは19点位、合格確実ラインは22点位になると思われます。
問2
絵画の公益財団法人Xに対する寄附方法に応じた相続税の課税関係を問う事例形式の理論問題でした。
⑴の遺言による遺贈寄附は、公益財団法人X(持分の定めのない法人)に対する相続税の課税関係を問う問題でした。
第68回税理士試験(みなし個人関連)、第71回税理士試験(持分の定めのない法人に関する課税関係)及び第73回税理士試験(一般社団法人に関する課税関係)で出題された項目であることから、正確に確認できていない受験生が多いと考えられます。
最低限、個人とみなされて相続税の課税がされる場合があることを説明できていれば充分であり、補足として、原則的には個人でないことから納税義務が生じない点などを解答できていると、大きなアドバンテージになると考えられます。
⑵の相続後の寄附は、一旦子Cが取得した後に寄附した場合の子Cに対する相続税の課税関係を問う問題でした。
子Cが寄附した場合に、国等に対して相続財産を贈与した場合等の非課税等(措法70)の適用を受けることができる場合と受けられない場合とに区分して、想定される取扱いを解答する必要があると考えられますが、試験問題としてどこに主題を当てた問題なのかが読み取れないことから、解答範囲に困った受験生が多いと考えられます。また、非課税措置の他に何を解答すればいいのかが分からず、問題文の指示に惑わされた受験生が多いと考えられます。
最低限、非課税の適用を受けることができる場合を説明できていれば充分であり、補足として、非課税の適用を受けることができない場合を列挙できていると、大きなアドバンテージになると考えられます。
これらの点を考慮して、問2の合格ボーダーラインは13点位、合格確実ラインは16点位になると思われます。
第二問 |
相続人関連及び財産評価を中心とした総合問題でした。財産評価等において、次に掲げるような判断に迷う箇所や細目事項がいくつか出題されていることから、これらの点についてはそれほど気にする必要はないと考えられます。
⑴ 相続人の判定(孫C、孫D及び孫Eの代襲有無・子Gの認知有無)
⑵ 雑種地K、雑種地Kに係る私道Iの共有持分(貸し付けられている雑種地の評価)
⑶ アスファルト舗装(償却方法の判断)
⑷ 債務控除(子Aの立替入院費と扶養義務の指示)
⑸ W生命保険(有期定期金及び終身定期金の評価に用いる年数の端数処理)
⑹ 生前贈与加算(子Aの相続時精算課税選択届出書の提出時期に応じた取扱い)
これらの点を見落とし等でミスしていたとしても、それほど合否に影響は与えないのではないでしょうか。
ただし、他の箇所はそれほど難しい論点は出題されていないため、確実に得点できる箇所の取りこぼしがどれだけ少ないかが1つの分かれ目となるのではないでしょうか。
これらの点を考慮して、第二問の合格ボーダーラインは36点位、合格確実ラインは40点位になると思われます。
合格ボーダー
全体の合格ボーダーラインは68点位、合格確実ラインは78点位になると思われます。
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