第74回 税理士試験 所得税法 模範解答・解説・講評

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⑴ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、試験実施機関における本試験の解答、配点、配点箇所並びに出題の意図を保証するものではありません。
⑵ 掲載内容は2024年8月10日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。
⑶ 掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。
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1.総評
 受験生の皆さん、本試験大変お疲れ様でした。
 今年の本試験は、理論問題が2問形式の出題であり、内容としては、棚卸資産や棚卸資産に準ずる資産に該当しない動産の売却による利益又は損失の所得税法上の取扱いを問う問題と令和6年分の居住者の所得税の確定申告についてを問う問題でした。計算問題は、1問形式の出題であり、内容としては、ここ数年と同様、幅広く論点を問う問題でした。特に計算問題は、不動産の譲渡や取得に関する取扱いが、前提条件を読み込むことに時間を要し、かつ、複雑なケースの取扱いであったため、いつも通りにスムーズに解答することができず、面食らってしまった受験生も多いのではないでしょうか。試験委員がミスを誘発するように出題している箇所も多々ありましたので、実際解答速報を見て、思いのほか手応えを感じることができない受験生も多いかと思います。
 具体的に振り返ると次のとおりです。

第一問

問1
 棚卸資産や棚卸資産に準ずる資産に該当しない動産の売却による利益又は損失の所得税法上の取扱いについて、設問ごとに問われている論点を整理し、解答例のように解答してほしいところです。取扱いとしては、計算問題でもよく出題されるオーソドックスなケースの内容であるため、取扱いについては、解答例のとおり正確に解答してほしいところです。
 他の受験生とも差がつきにくい出題内容となっているため、生活に通常必要でない資産の意義を精度よく解答していることや、譲渡所得の意義・計算方法について可能な限り触れていること、また、生活に通常必要な動産も一定条件に該当すると生活に通常必要でない資産に該当する旨などが解答できていると、他の受験生と差別化を図れたかと思います。

問2
 令和6年分の居住者の所得税の確定申告についてを問う問題であり、個別理論問題であるため、精度よく解答してほしいところです。この問題も、他の受験生と差がつきにくい出題内容となっているため、精度よく解答していることが合否のポイントになるかと思います。

 第一問の合格ボーダーラインは32点位、合格確実ラインは41点位になると思われます。

第二問

 問題量が多く、また、総評でも述べたように不動産の譲渡や取得に関する取扱いが複雑な形で出題されている問題でした。制限時間が限られている中で、受験生に問題文の読み込みをさせ、また、各種判断をさせる要素が強いと感じる問題であり、その点、非常に難易度の高い問題でした。よく読み込まないと誤答してしまうよう試験委員が出題している箇所もあり、総じて得点しづらい問題であったかと思います。受験生の皆さんもあまり手応えを感じなかった方が多いのではないでしょうか。
 その中で、基本的な論点をケアレスミスすることなくできる箇所をしっかりと解答していること、それ以外のところで如何にアドバンテージをつけることができたかどうかが今回の税理士試験の合否のポイントになるかと思います。
 特に不動産の譲渡や取得に関する取扱い以外の箇所を如何に正答できたかが、重要になってくるかと思います。

 第二問の合格ボーダーラインは27点位、合格確実ラインは32点位になると思われます。

合格ボーダー
 合格ボーダーラインは59点位、合格確実ラインは73点位になると思われます。

最後に
 今回の試験問題は、理論問題が比較的優しい出題であったため、如何に理論問題を精度よく解答しているか、そして、計算問題の基本的な論点をより多く正確に解答しているかが合否のポイントになるかと思います。
 昨年度の試験問題に引き続き、幅広い論点から出題がされているため、それなりに実力順に結果が出るかとは思いますが、知識は持っているのに、問題の読み込みができず、誤った前提で解答してしまう方も多くなってしまう出題であったため、その点、努力が報われない受験生もいらっしゃるような気がします。
 受験生にとっては、なかなか合否を判断することが難しい問題であったため、今後の予定が立てづらいかと思いますが、一旦はリフレッシュして、再度今後について考えてみて下さい。受験生の皆さん、1年間本当にお疲れ様でした。

解答(理論) – 解答(計算) – 解説 –


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