第73回 税理士試験 相続税法 模範解答・解説・講評

ご利用に当たっての注意事項
⑴ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、試験実施機関における本試験の解答、配点、配点箇所並びに出題の意図を保証するものではありません。
⑵ 掲載内容は2023年8月11日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。
⑶ 掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。
⑷ 解答及び解説の内容並びに予想配点及び配点箇所に関するお問い合わせは、一切お受けできません。
以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。

1.総評
 受験生の皆様、大変お疲れ様でした。
 第一問の理論問題は、近年の理論問題と同様に2問とも事例形式での出題でした。それぞれの問に対する取扱いの解答ができるかが重要になると考えられます。
 第二問の計算問題は、近年に比べるとボリュームが少なくなった印象です。ただ、随所に引っ掛けや細目事項が出題されていることから、正しい解答を導き出すことが難しい点が多い問題でした。試験時間中に感じた手応えよりも、得点は取りにくい問題だったではという印象です。得点できる箇所を正確に解答できているかが分かれ目になるのでないでしょうか。

第一問

問1
 特定居住用宅地等への該当性を判断する事例形式の理論問題でした。
 それぞれの宅地の利用状況及び取得者状況を読み取った上で、特定居住用宅地等に該当するための要件に当てはめていく必要があり、解答上で説明をしていくのが意外と難しい問題でした。
 該当するか否かの結論は確実に正答した上で、計算問題で行っている当てはめと同じような要領で、該当するか否かの理由を説明できたかが1つの分かれ目になるのではないでしょうか。
 これらの点を考慮して、問1の合格ボーダーラインは17点位、合格確実ラインは20点位になると思われます。

問2
 一般社団法人(持分の定めのない法人)に対する贈与税及び相続税の課税関係を問う事例形式の理論問題でした。
 ⑴は、一般社団法人(持分の定めのない法人)に対して贈与があった場合の贈与税の課税関係を問う問題でした。第68回税理士試験(みなし個人関連)及び第71回税理士試験(持分の定めのない法人に関する課税関係)で出題された項目であることから、正確に確認できていない受験生が多いと考えられ、個人とみなされる点や贈与税額の計算方法を説明できていれば十分であったと考えられます。
 ⑵は、一般社団法人の理事である個人Xが死亡した場合の特定一般社団法人等に対する相続税の課税関係を問う問題でした。こちらも第68回税理士試験(みなし個人関連)で出題された項目であることから、正確に確認できていない受験生が多いと考えられ、一定額を遺贈による取得及び個人とみなされる点、⑴により課された贈与税額を控除する点を説明できれば十分であったと考えられます。
 いずれの問も、それぞれの取扱いの要点を解答できていれば十分であると考えられます。
 これらの点を考慮して、問2の合格ボーダーラインは13点位、合格確実ラインは16点位になると思われます。

第二問

 相続人関連及び財産評価を中心とした総合問題でした。財産評価等において、次に掲げるような判断に迷う箇所や細目事項が多く出題されていることから、試験時間中に感じた手応えよりも得点は取りにくい問題という印象です。
⑴ 宅地F(評価単位、想定整形地の判断)
⑵ H社株式
⓵ 評価方法の判定(いわゆる平取締役の取扱い)
⓶ 比準要素数1の会社の判定(年利益金額の算定)
⓷ 宅地及び借地権(評価単位、想定整形地の判断、接道按分、地積規模の大きな宅地への該当性、借地権の計上有無)
⑶ 相続人の範囲(分割財産の相続分、保険金の非課税の適用範囲、債務控除の適用範囲、未成年者控除の適用範囲)
 これらの点を見落とし等でミスしていたとしても、それほど合否に影響は与えないのではないでしょうか。
 ただし、全体の分量はそれほど多くないことから、確実に得点できる箇所の取りこぼしがどれだけ少ないかが1つの分かれ目となるのではないでしょうか。

 これらの点を考慮して、第二問の合格ボーダーラインは33点位、合格確実ラインは38点位になると思われます。

合格ボーダー
 全体の合格ボーダーラインは63点位、合格確実ラインは74点位になると思われます。

解答(理論) – 解答(計算) – 解説 –


Adobe Reader のダウンロード※ 解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加