ご利用に当たっての注意事項
⑴ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、試験実施機関における本試験の解答、配点、配点箇所並びに出題の意図を保証するものではありません。
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1.総評
受験生の皆さん、本試験大変お疲れ様でした。昨年度ほどではありませんが、新型コロナウイルス感染症や台風の影響で、万全の状態で受験できなかった方もいらっしゃったのではないかと思います。受験生の皆さんは、その点いかがだったでしょうか。
今年の本試験は、理論問題が2問形式の出題であり、内容としては、上場株式の配当の課税関係に関する問題と資産損失の事例問題でした。計算問題は、1問形式の出題であり、内容としては、幅広く論点を問う問題でした。特に計算問題は、「非居住者」、「個人事業の開業」、「法人成り(個人事業の廃業)」という少々イレギュラーな論点を詰め込んだ形式での出題であったため、いつも通りスムーズに解答することができず、焦りながら解いた方も多いのではないでしょうか。試験委員がミスを誘発するように出題している箇所も多々ありましたので、実際解答速報を見て、思いのほか手応えを感じることができない受験生も多いかと思います。
具体的に振り返ると次のとおりです。
第一問 |
問1
上場株式の配当の課税関係について、設問ごとに問われている論点を整理し、解答例のように解答してほしいところです。
この問題は、何を問われているかが読み取りにくい箇所があったり、どこまで解答するか判断に迷ったりと答案構成に苦労した受験生も多いのではないでしょうか。個人的な感覚ではありますが、試験委員が大口株主等に該当するか否かによって取扱いが異なる点を受験生が理解しているか確認しているような気がします。ですので、その辺りが解答できていると試験委員の印象も良く、合否のポイントになるのではないかと思います。
問2
各種資産の災害による損失の取扱いについて、各種資産ごとに損失金額にも触れながら、解答例のように解答してほしいところです。
この問題も、どこまで解答するかの判断が非常に難しい問題であったかと思います。今回の試験問題では、理論問題の設問ごとに配点の記載があり、問2は「20点」配点ということでしたので、その点を考えた上で、解答できたかどうかが、合否のポイントになるかと思います。
また、問題文で「損失金額の計算方法の概要についても併せて説明しなさい。」とあるため、この点について要点を踏まえて、各種資産ごとにその違いを解答できているかどうかも、合否のポイントになるかと思います。
第一問の合格ボーダーラインは34点位、合格確実ラインは39点位になると思われます。
第二問 |
問題量が多く、また、総評でも述べたように特殊な論点が複雑な形で出題されている問題でした。制限時間が限られている中で、受験生に問題文の読み込みをさせ、また、各種判断をさせる要素が強いと感じる問題であり、その点、非常に難易度の高い問題でした。
ですが、非常に作り込まれた問題であり、その点、読解力・知識・判断力を試された問題でもあったのではと感じます。税理士試験は、税理士資格を付与するかどうかを決める試験ですから、その点の資質を見るという意味で言えば、良問であったのではと思います。
その中で、基本的な論点をケアレスミスすることなく、できる箇所をしっかりと解答していること、それ以外のところで如何にアドバンテージをつけることができたかどうかが合否のポイントになるかと思います。
特に「個人事業の開業」及び「法人成り(個人事業の廃業)」が出題されているため、月数按分等でミスをしてしまうと非常に痛手となってしまうのではないでしょうか。その点、ミスを誘発する箇所を如何に正答できたかどうかも合否のポイントになるかと思います。
第二問の合格ボーダーラインは28点位、合格確実ラインは35点位になると思われます。
合格ボーダー
合格ボーダーラインは62点位、合格確実ラインは74点位になると思われます。
最後に
今回の試験問題は、昨年度の試験問題に引き続き、1年間しっかりと学習している方の学習度合を見極めるためには、幅広い論点から出題されているため、実力順に結果が出るのではないでしょうか。
ただ、計算問題については、難解な部分や判断に迷う部分、ミスを誘発する部分も多いため、実力があっても力を発揮することができず、悔しい思いをした受験生も多いのではないでしょうか。
ですが、受験生全員同じ状況で税理士試験を受験しており、ミスなく解答することは不可能に近いかと思いますので、自身の自己採点の結果だけで気落ちせず、合格発表を楽しみにお待ちいただければと思います。
受験生にとっては、なかなか合否を判断することが難しい問題であったため、今後の予定が立てづらいかと思いますが、一旦はリフレッシュして、再度今後について考えてみて下さい。受験生の皆さん、1年間本当にお疲れ様でした。
※ 解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。