第70回 税理士試験 財務諸表論 模範解答・解説・講評

主任講師
理論:早谷 準一  計算:渡辺 光

第一問

 企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」からの出題になります。読み込む問題量は昨年に比べて少なく、また、内容的には、同基準の基本を理解していれば、比較的解答の作成は容易と思われます。
 したがって、(1)の空欄補充から(3)の項目の選択について、できるだけ得点しておく必要があります。また、(2)のクリーン・サープラス関係の定義、(3)の理由に関する記述および(5)の包括利益と当期純利益との関係に関する記述は基本的論点ではありますので、部分的に得点を重ねておきたいところです。
 ただし、組替調整が必要とされる理由を企業価値評価の観点から問う(4)は比較的難易度が高い問題であると思われます。討議資料「財務会計の概念フレームワーク」や他の会計基準との関連性を意識した学習を日頃から行っていないとなかなか対応が困難と思われます。

 第一問のボーダーラインは13点位になると思われます。

第二問

 問1では討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の資産・負債の定義と利益観、オペレーティング・リース取引における借手のリース物件の資産性を問うものです。討議資料「財務会計の概念フレームワーク」からの出題は、第68回からいわば常態化しており、とりわけ、資産・負債の定義は絶対にミスしてはならない論点です。したがって、(1)と(2)は是非とも得点しておきたい問題です。他方、(3)はいわゆる使用権モデルまで言及することで得点を重ねることができると思います。
 問2では、昨年同様、事例を用いて資産除去債務の会計処理について、減価償却方式、引当金方式および資産負債の両建処理の特徴を問うものです。減価償却方式や引当金方式についての計算は、少し戸惑うかもしれませんが、問題を丁寧に読み込むことで解答可能です。また、(2)は典型論点なので部分的にも得点しておきたい問題です。
 いずれの問題も日頃の学習において、「なぜ、どうして」を自ら問いかけた本質的な学習を行っているかを試していると思います。基本的かつオーソドックスな論点について確実に拾えているか、出題予想に流されず体系的な理解を踏まえ各論点を整理した学習が日頃からなされているかが合否の分岐点と考えます。
 また、理論問題の解法だけに注力しても、合格は難しいといえます。第三問の問題のボリュームや論点の難易度との相対性から、空欄補充や記号選択問題をスムーズに済ませ、記述問題は最低限の得点を目指し、素早く計算問題に取りかかる潔さが解法のアプローチとして有効と思われます。

 第二問のボーダーラインは14点位になると思われます。

第三問

 全体的には各項目の基本的な事項の出題が多く、あまり聞き慣れない項目(関係会社事業損失引当金)とか貸倒引当金は過去の問題と異なる出題していますが問題文を正確に把握すれば問題はないと思われます。後は財表の計算問題は集計段階でどれだけミスを少なくすることがポイントかと思います。

 第三問のボーダーラインは35点位になると思われます。

合格ボーダー
 全体のボーダーラインは62点位になると思われます。

解答 – 解説 –


※ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。また、掲載内容は2020年8月21日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。また、予想配点及び配点箇所に関するお問い合わせは、一切お受けできません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。

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