第70回 税理士試験 相続税法 模範解答・解説・講評

主任講師:片桐 努

1.総評
 受験生の皆様、大変お疲れ様でした。
 第一問の理論問題は、解答範囲が策定しにくい事例形式での出題でした。昨年、一昨年の試験の理論問題とは傾向が大きく変わったため、戸惑いもあったかもしれません。最低限の解答ができていれば、充分と考えられます。
 第二問の計算問題は、一見するとボリュームの多い問題でした。ただし、出題されている内容自体は、基本事項が多いため、いかに早く正確に解答できたかが1つの分かれ目となると考えられます。

第一問

問1
 遺産が未分割である場合の取扱い及び特別寄与料の取扱いを問う複合的な理論問題でした。
 (1)は、未分割である場合に小規模宅地等の特例の適用をするための手続が問われました。こちらの点は、理論集にも掲載していない項目からの出題でしたので、解答が難しい点でした。しかし、多くの受験生が同様の状況であるため、こちらの点はそれほど気にする必要はないと考えられます。申告期限後3年以内の分割見込書が解答できた場合には、大きなアドバンテージになると考えられます。
 (2)では、相続税法に特別寄与料の規定が設けられている理由が問われましたが、こちらも解答が難しい点でした。経済的実質に着目し、相続税の課税対象となる点が解答できれば充分だったと考えられます。理由以外の相続税の課税価格及び税額の計算に関する規定、申告手続に関する規定をどれだけ解答できるかが1つの分かれ目になると考えられます。
 (3)では、特別寄与料の支払者の取扱いが問われました。こちらの点は、課税価格の計算について説明することになるので、特別寄与料の負担が、債務控除の対象となる点が理解できていれば、解答はそれほど難しいものではなかったと考えられます。ただし、特別寄与料の取扱いに意識が向かい、未分割財産が分割された場合の取扱い及び申告等の手続の解答を忘れないようにしたいところです。
 これらの点を考慮して、問1の合格ボーダーラインは16点位、合格確実ラインは19点位になると思われます。

問2
 代物弁済が行われたことにより生じる贈与税の課税を問う事例形式の理論問題でした。
 状況を読み取ることが難しく、生じることとなる贈与税の取扱いを把握すること自体が難しい理論問題でした。金銭債権の額と土地Zの価額とに差額があることを前提として、所得税法における代物弁済の場合の課税関係や、当事者にどのような利益が生じるのかを想像して取扱いを把握し、規定の内容を簡潔にでも解答できれば充分だったと考えられます。
 なお、趣旨も問われましたが、こちらも経済的利益を受けることから、贈与税の課税関係が生じるといった点を解答さえできれば充分だったと考えられます。
 これらの点を考慮して、問2の合格ボーダーラインは9点位、合格確実ラインは12点位になると思われます。

第二問

 財産評価及び税額計算を中心とした総合問題でした。財産評価のボリュームが多く感じられますが、1つ1つの内容自体はそれほど難しい点は多くないため、いかにスピード良く解答できるかが1つの分かれ目になるのではないでしょうか。
 目新しい項目もほとんどないため、学習してきた内容をどれだけ発揮できたかが重要になると考えられます。
 ただし、未収家賃を分割遺産に加算する取扱いや、譲渡担保の債権者側の取扱い、X社転換社債の転換価格の方が上回る場合の取扱い、結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度の管理残額の取扱いなどは、答練などでもそれほど出題していないものだったので、これらの点の正否は、それほど影響しないものと考えられます。
 また、ボリューム自体は多いため、最終的な数値まで算出できなかったかもしれませんが、解答できる箇所をどれだけ拾って解答できたかが1つの分かれ目になると考えられます。
 これらの点を考慮して、第二問の合格ボーダーラインは36点位、合格確実ラインは41点位になると思われます。

合格ボーダー
 全体の合格ボーダーラインは61点位、合格確実ラインは72点位になると思われます。

解答(理論) – 解答(計算) – 解説 –


※ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。また、掲載内容は2020年8月21日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。また、予想配点及び配点箇所に関するお問い合わせは、一切お受けできません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。

Adobe Reader のダウンロード※ 解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事