第70回 税理士試験 所得税法 模範解答・解説・講評

主任講師:志水 大介

1.総評
 受験生の皆さん、本試験お疲れ様でした。
 今年の本試験は、理論問題が2問形式の出題であり、内容としては、個別理論及び判例を題材にした応用理論問題でした。
 特に理論問題の問2では、通達や判例に触れながら説明するという例年にない出題の仕方であり、なかなか解答の仕方が難しかったと感じた受験生も多いのではないでしょうか。
 また、計算問題も2問形式の出題であり、昨年度本試験に引き続き問題量が多く、難易度が高い論点も出題されていました。
 具体的に振り返ると次のとおりです。

第一問

 2問形式の理論問題であり、給与所得控除額や競馬の払戻金に係る所得の課税関係など、解答の仕方に困ってしまった受験生も多いのではないでしょうか。
 各問について振り返ると次のとおりです。

問1
 給与所得控除額及び特定支出控除の特例についての制度の概要が問われているため、当該事項について、解答例のとおり説明してほしいところです。
 給与所得控除額は、何を解答すればよいか困ってしまった受験生も多いかと思いますが、速算表を基にした解答で十分かと思います。
 また、特定支出控除の特例は、答案練習で出題しているため、内容、申告要件、特定支出の範囲を正確に解答してほしいところです。
 なお、給与所得控除額は、単に給与所得控除額を説明することも考えられますが、あわせて特定支出控除の特例が出題されていることから、給与所得控除額や特定支出控除の特例の趣旨に触れると加点項目になるかと思います。
 解答例には挙げている給与所得控除額の注意書きについては、細目論点であるため、解答していなくても問題ないかと思います。
 問2でなかなか得点できない分、問1で如何に精度よく解答できたかどうかが合否に影響するかと思います。

問2
 「馬券訴訟(最高裁判所平成29年12月15日判決、東京高等裁判所平成28年9月29日判決(最高裁判所平成29年12月20日上告棄却)他)」を題材とした問題であり、通達や判例に触れながら説明するという例年にない出題の仕方であったため、なかなか解答の作成に四苦八苦した受験生も多いのではないでしょうか。
 問題では、「所得区分」と「必要経費の範囲」の説明を求められているため、当該事項を解答例のように説明できたかどうかがポイントであったかと思います。
 ただ、通達や判例に関する取扱いは、受験生が通常の法令のとおりに解答できるようなものではないと考えられるため、営利を目的とする継続的行為か否かで所得区分が異なる旨や、外れ馬券の購入費用が控除できるかどうかなど、各取扱いのポイントとなる部分に触れて解答できたかどうかが合否に影響するかと思います。

 第一問の合格ボーダーラインは28点位、合格確実ラインは35点位になると思われます。

第二問

 2問形式の出題であり、問1では事業所得を中心とする問題、問2では、不動産所得、譲渡所得等様々な論点を題材にした問題でした。
 各問について振り返ると次のとおりです。

問1
 実務上問題となりそうな論点からの出題が多く、細目論点もあり、なかなか解答しづらい問題でした。
 しかし、所得控除等解答しやすい論点も多々あるため、当該論点を正確に解答し、それ以外のところで如何にアドバンテージをつけることができたかどうかがポイントであったかと思います。

問2
 論点自体が多岐にわたるものの、比較的簡単な論点からの出題も多かったことから、試験委員の引っかけ問題に引っかからず、より多くの問題を正答できたかどうかがポイントであったかと思います。

 第二問の合格ボーダーラインは35点位、合格確実ラインは40点位になると思われます。

合格ボーダー
 合格ボーダーラインは63点位、合格確実ラインは75点位になると思われます。

最後に
 今回の試験では、特に理論問題の問2について、単に理論暗記をしているだけでは、解答ができないような問題の出題がされ、税理士試験の本来のあり方を考えさせられる出題でした。
 税理士となる上で、単に規定を暗記するだけではなく、それを使えて初めて意味があると私は考えるため、判例からの出題、ましてや、国が敗訴した事案を出題することは、非常に意味のあることだと思いました。
 ただ、受験生にとっては、対応が難しい問題であったことは事実であり、合格発表まで待たないと合否を判断することは難しい問題であったことから、そういった点を踏まえて今後の予定を考えてみて下さい。
 受験生の皆さん、1年間本当にお疲れ様でした。

解答(理論) – 解答(計算) – 解説 –


※ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。また、掲載内容は2020年8月21日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。また、予想配点及び配点箇所に関するお問い合わせは、一切お受けできません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。

Adobe Reader のダウンロード※ 解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事