第67回 税理士試験 相続税法 講評・模範解答・解説

主任講師:片桐 努

本試験講評
 受験生の皆様、大変お疲れ様でした。
 第一問の理論問題は、問1が延納制度及び物納制度に関する適用要件を解答する理論問題でした。解答自体は単に規定を解答するだけのため、解答の精度が合否に大きく影響することになると考えられます。なお、規定をどこまで解答するのか判断が難しいところでしたが、延納手続及び物納手続については解答していなくても問題ないと考えられます。
 問2は、贈与者の要件及び経営承継受贈者の要件については重要規定ではあるものの、受験生の多くがおさえられていない項目であると予想されます。なので、要点が軽く解答できていれば充分であると考えられるので、合否にはそれほど影響しないのではないかと考えられます。
 第二問の計算問題は、難易度自体はかなり低めでした。多少の引っ掛けの箇所がある程度で、内容自体も基本計算ばかりでした。どれだけ正確に解答できるかどうかが合否の分かれ目になると考えられます。
 相続時精算課税適用者が死亡している場合の権利義務の承継についてが新規論点でしたが、理論項目として確認できてさえいれば充分解答可能な内容でした。
 計算問題は、全体の難易度はかなり低めなので、高得点での勝負になると考えられます。税理士という国家資格を取得するための試験問題である点を考慮すれば、それほど知識や経験を積んでいなくとも解答できてしまう試験問題には異を唱えたいというのが個人的な感想です。受験者数が減少している昨今で、試験自体を簡単にして裾野を広げるという意図があるのかもしれませんが、そのような試験で合格した税理士が増えれば税理士業界全体のレベルが下がる原因となります。高度な知識を持ち、実社会で活躍できる税理士を輩出していかなければ、どちらにせよ税理士業界の未来はないと思います。もう少し、魅力ある試験であってほしいところです。

第一問

問1
 延納制度及び物納制度に関する適用要件を解答する理論問題でした。租税は金銭一時納付を原則としていますが、相続税は財産税としての性格を有しているため、金銭一時納付を困難とする場合も想定されます。そのため、納付方法の特例として金銭分割納付である延納、財産一時納付である物納が設けられています。相続税法独自の納付方法の特例を理解しているかどうかを問う点に出題の意図があったのではないでしょうか。特に、近年の相続税の課税対象者の増加に伴いこれらの規定の適用を受ける者が増加することが予想されること及び物納制度については平成29年度税制改正項目である点を考慮しての出題だったと考えられます。
 延納制度及び物納制度は出題予想もされていたことから、受験生の多くが正確に解答できていると予想されます。
 これらの点を考慮して、問1の合格ボーダーラインは24点位、合格確実ラインは27点位になると思われます。

問2
 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除制度の当事者要件及び設例に応じた平成29年分の納税猶予税額及び期限内納付額を解答する事例形式の理論問題でした。
 贈与者の要件及び経営承継受贈者の要件に関しては、ある程度の要点が解答できていれば充分であったと考えられます。
 平成29年分の贈与税の納税猶予税額及び贈与税の申告書の提出期限までに納付すべき税額については、問題文の指示からして、暦年課税及び相続時精算課税のいずれの場合も解答する必要があったのではないかと考えられます。
 これらが出題された背景には、近年の税制改正項目である非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除制度の適用要件の緩和及び適用に伴うリスク緩和を理解しているかどうかを確認するための出題だったのではないでしょうか。また、会社の事業承継は会社経営者の悩みの種でもあり、この制度の理解度を確認することに出題の意図があったのだと考えられます。
 これらの点を考慮して、問2の合格ボーダーラインは9点位、合格確実ラインは11点位になると思われます。

第二問

 新規論点は相続時精算課税適用者が死亡している場合の権利義務の承継に関する事項程度で、難易度自体は非常に低い問題でした。
 試験の適用法令等が平成29年4月3日現在の施行法令等とされており、財産評価基本通達の改正時期が同日後となったためか、改正前の取扱いで解答する指示がありました。この点については、勘違い等により改正後のもので解答してしまっている受験生もいるかと思いますが、この点についてはそれほど合否に影響しないのではないかと考えられます。
 これらの点を考慮して、第二問の合格ボーダーラインは41点位、合格確実ラインは45点位になると思われます。

合格ボーダー
 全体の合格ボーダーラインは74点位、合格確実ラインは83点位になると思われます。

解答(理論) – 解答(計算) – 解説 –


※ 掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。また、掲載内容は平成29年8月11日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。

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