第146回 日商簿記検定試験 講評・模範解答

第146回日商簿記検定試験

『講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説』

1級】 【2級】 【3級

「本講評・模範解答(予想配点箇所を含む)・解説は、東京CPA会計学院・CPAビジネスゼミナールの講師陣並びにスタッフが作成したものであり、模範解答並びに予測配点箇所について、日本商工会議所における実際の解答並びに配点箇所との整合性を当校は何ら保証致しかねます。」

Adobe Reader のダウンロード※解答・解説は、PDFファイルとなっております。こちらのWEBサイトより Adobe Reader のダウンロードをお願い致します。

■ 1級

商業簿記】 【会計学】 【工業簿記】 【原価計算

商業簿記

日商簿記検定1級講座 商業簿記 講師:町田 友理花

解答〕〔解説

【講評】
 受験生のみなさんお疲れ様でした。
 商業簿記は、損益計算書の作成を中心に財務諸表の注記の一部を問う問題でした。問題量に関しては例年よりボリュームがありましたが、量に圧倒されず、解き始める前にまず問題全体を見て、できるところから落ち着いて損益計算書の作成ができれば合格点は狙える問題であったと思います。

■出題の特徴
 今回、受注制作のソフトウェア、税効果会計の回収可能性及び注記について新たに問われました。ソフトウェア及び税効果会計については一通りの整理事項が終了していないと計算することができないため、他の整理事項の会計処理を正確におさえておかなければ、解答を導き出すことはできません。制限時間内に解けなかった方も時間をかけてじっくり他の整理事項から順を追って計算して頂ければと思います。
 注記は表示行為にすぎないため、まず基本的な会計処理をきちんと入れてから余裕がある方について学んで頂ければと思います。

■アドバイス
 普段からただ仕訳を覚えるのではなく、なぜこのような処理になるのか、原理原則をきちんとおさえることで、どんな問題にも対応できる力をつけることができます。暗記の学習はその場しのぎでしかありません。検定試験に受かることを目的とするのではなく、その先を見据えて考える学習にシフトすることで、簿記を楽しく学んでいけると同時に自然に力もつくと思います。

ページ先頭に戻る

会計学

日商簿記検定1級講座 会計学 講師:山内 樹

解答〕〔解説

【講評】
 検定試験お疲れさまでした。
 今回の問題は、理論問題1問と計算問題2問の形式でした。問題全体を見て、まず第1問、第3問を解答し、最後に時間に余裕があれば第2問の計算問題を解くという判断が求められたのではないでしょうか。

■出題の特徴
〔第1問〕
 空欄補充に関する理論問題でした。基本的な用語であるため、ひとつでも多くの正解が求められると思います。
〔第2問〕
 通貨オプションによる予定取引にヘッジ会計を適用した場合の処理を問う問題でした。デリバティブ取引のなかでもかなり細かい内容であるため、解答できなくても合否には影響ないと思います。
〔第3問〕
 「事業分離」の個別財務諸表上の会計処理と「事業分離」後の連結貸借対照表を問う問題でした。個別財務諸表の会計処理は、「投資の継続」・「投資の清算」の考え方をおさえていれば問題なく解答できたかと思います。連結貸借対照表については、過去にも同じような問題が出題されているため、比較的解きやすかったのではないかと思います。

■アドバイス
 日商簿記1級の商業簿記・会計学は非常に幅広い知識が要求されるため、枝葉末節の会計処理に意識が集中し、暗記の学習に陥っている受験生も少なくないのではないでしょうか。短期間での合格や要領の良い学び方は、枝葉末節をただ暗記するのではなく、各論点の考え方を正確にインプットし、何度も良問を解くことだと思います。

ページ先頭に戻る

工業簿記

日商簿記検定1級講座 工業簿記 講師:緒方 将大

解答〕〔解説

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 工業簿記は、主に部門別計算からの出題であり、連立方程式法に関する出題(問5)を除けば、容易に解答可能であったのではないでしょうか。ただし、動力部門の配賦基準が用役消費量(kW時間)である点に注意する必要がありました。
 複数基準配賦法を用いた計算ではなかったため、難易度も高くなく、いかに落ち着いて、正確に計算できたかがポイントとなります。

■出題の特徴
〔第1問〕
 部門別計算に関する基本的な問題です。計算が簡単な分、資料を工夫してありますので、資料を適切に読み取り、解答する力が求められます。資料さえ単純に与えられていれば、計算は日商2級程度の難易度ですので、1級受験者の皆さんはぜひ解答していただきたい問題でした。ただし、連立方程式法に関する問は、少々解り辛い部分もありますので、解けなくても問題はないかと思います。
〔第2問〕
 基本的な事項が分かっていれば解答可能であった理論問題だと思われます。問題の解き方を覚えるのではなく、計算方法を理解する学習を心掛けましょう。

■アドバイス
 近年の工業簿記は、明らかに「勘定記入」について重点的に問われる傾向になってきました。つまり、計算式を覚えて解答を出すだけではなく、計算した数値が帳簿上、どのように流れているのかを確認する必要があります。勘定連絡図を意識し、常に一巡に沿って理解することが求められます。

ページ先頭に戻る

原価計算

日商簿記検定1級講座 原価計算 講師:松葉 崇史

解答〕〔解説

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 今回の原価計算は、戦略的原価計算に関する論点からの出題でした。営業費計算に活動基準原価計算を絡ませた出題や原価差異を設備効率の観点から分析する手法など、近年出題のない論点となります。初見の方はビックリされたかもしれませんが、丁寧に問題文を読んで、解き進めれば合格点に達したのではないでしょうか。

■出題の特徴
〔第1問〕
 営業費計算に活動基準原価計算を絡ませた問題となります。活動基準原価計算は、従来の部門別原価計算に代わる新しい製造間接費配賦計算として出題されることが多いですが、営業費の配賦にも用いることができます。また、計算方法についても問われているので、数字を追わせるのではなく、どのような考えで配賦していくかも理解が必要となるでしょう。
〔第2問〕
 価格決定に関する問題となります。単に販売価格の計算を問うのではなく、その計算を行っていく背景、その時の製品原価の位置付けについての理解が必要となります。計算方法だけを押さえていた方は、判断に迷う問だったのではないでしょうか。
〔第3問〕
 製造間接費差異を設備効率の観点から分析する問題となります。一つ一つの語句の意味を理解できないと何を比較すればよいかが分かりません。まず、オーソドックスな差異分析を行った上で、どのように比較を行っているかを確認してください。詳しくは解説の方に載せています。

■アドバイス
 今回の原価計算は、管理会計の分野から理論、計算問わず、満遍なく横断的に出題されていました。ただ単にその単元の理解を行う点の学習にばかり囚われていると本問のような出題がなされたときに合格点には届きません。各単元の繋がりを意識した学習を行うことでより一層理解が深まり、どのような出題がなされても対応できるのではないでしょうか。また、繋がりを意識した学びを続けることで、答えを出して満足するだけの表面的な楽しさではなく、本当の意味で学ぶ楽しさを実感できるのではないでしょうか。

ページ先頭に戻る

 

■ 2級

日商簿記検定2級講座 講師 商業簿記:杉山 亜夢里
工業簿記:三村 拓矢

〔解答: 商業簿記(第1問~第3問)工業簿記(第4問~第5問)
〔解説:商業簿記(第1問~第3問)工業簿記(第4問~第5問)

【講評】
 検定試験お疲れ様でした。
 第146回の検定試験では、商業簿記において改正論点の出題がありますが,全体的には平均的なレベルの出題と思われます。

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳問題は改正論点の固定資産の圧縮記帳が出題されましたが、その他は平均的なレベルの出題でした。
〔第2問〕
 現金預金に関する問題です。過去に出題された銀行勘定調整表の作成及び修正仕訳が出題されましたが、過去の出題内容とほぼ同じであるため、出来る限り得点したい問題です。
〔第3問〕
 精算表作成問題です。改正論点である外貨建取引や期中における増改築工事の完了など計算がやや難しい点もありますが、その他は平均的なレベルの出題でした。
〔第4問〕
 標準原価計算のシングル・プランを採用した場合における勘定記入を問うた問題でした。シングル・プランの場合、仕掛品勘定の記入はすべて標準原価を用いて記入が行われるため、仕掛品勘定では価格差異及び数量差異が認識されず、各原価要素の勘定で差異が認識されることとなります。その点だけ注意して頂ければ、満点が狙える問題であったと思います。
〔第5問〕
 仕損が発生した場合の単純総合原価計算の問題でした。問題文に解答を出すためのアプローチが全て指示されているため、問題文をしっかり読めば迷う箇所は見当たらないと思います。但し、売上原価の算定まで問われているので、製品原価算定後の勘定の流れまで合わせて理解して頂く必要があります。

■各設問の合格点の目安
 今回の本試験で合格点を得るためには、第1問で12点(3問)以上、第2問で14点以上、第3問で12点以上、第4問で12点、第5問で20点取る必要があると思われます。

■アドバイス
 商業簿記については、改正に伴う新論点導入により、範囲が大幅に広がったため、「ボリュームのある内容をコンパクトに学習する」また、「各論点の核となる考え方を学習する」事が重要となります。単なる過去問題をパターンで繰り返し覚えるだけではなく、しっかりと考え方を身に付けましょう。
 工業簿記については、今回も非常に得点を伸ばせる問題であったと思います。問題文をきちんと読んで、落ち着いて解けば高得点を取ることも難しくはないでしょう。日商簿記2級は商業簿記の分野である第1問、第2問、第3問が比較的難しい傾向にありますので、第4問、第5問で点数を確保し、合格点である70点を目指してください。日商簿記2級合格のカギは工業簿記をいかに理解できるかだと思います。

ページ先頭に戻る

 

■ 3級

日商簿記検定3級講座 講師:鯖江 悠平

解答〕〔解説

【講評】
 受験生の皆様、検定試験お疲れ様でした。全体的には平均的な内容であると思います。
 各問の講評を以下で具体的に確認していきたいと思います。

■出題の特徴
〔第1問〕
 仕訳に関する問題でした。特に複雑な計算もなく、内容を読み取れれば完答できた問題であると思います。
〔第2問〕
 補助簿の選択に関する問題でした。5日の取引については、最後まで文章を読んでいるか注意力を問われる問題です。
〔第3問〕
 合計残高試算表及び掛取引の明細表を作成する問題でした。取引数も少ないため、比較的短時間で解答できる問題であると思います。
〔第4問〕
 伝票の記入に関する問題でした。基本的な問題であるため、完答できる問題であると思います。
〔第5問〕
 財務諸表の作成に関する問題でした。基本的な内容であり、最近では財務諸表を作成する問題も頻繁に出題されているため、完答したい問題です。

■各設問の合格点の目安
 今回の本試験で合格点を得るためには、第1問で12点以上、第2問で6点以上、第3問で24点以上、第4問で6点以上、第5問で24点以上取る必要があると思われます。

■アドバイス
 日商簿記検定3級の試験は、過去問を繰り返し練習することにより合格は可能です。
 これから学習されるであろう2級や1級などの上級試験は、過去に出題がない形式や内容であることがほとんどであるため、繰り返し練習することが無意味なものとなります。
 そのため、早い段階で各内容の本質を理解する学習方法を習得することが今後の学習の効率化につながると思います。

ページ先頭に戻る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事