第66回税理士試験 解答速報・講評・解説

第66回税理士試験の解答速報・講評・解説を公開しております。

簿記論財務諸表論消費税法法人税法所得税法相続税法

簿記論

主任講師:渡辺 光

本試験講評

受験生の皆様、本試験おつかれさまでした。
今年度の本試験は、過去の問題と比較した場合、ボリュームは多いですが、解答を容易に導き出せるところが多くあるため、そこを正確に解答できたかどうかが合格の分かれ目になると思います。
本年度の簿記論の各問題についてポイントを列挙していきたいと思います。

第一問

問題の内容は比較的易しく、ボリュームは標準的です。
問1は、先入先出法による払出単価の計算を正確にできれば、(1)と(2)は正答が可能です。
問2は、会計と税務の差異の内容は基本的なものですが、税効果会計で適用する法定実効税率を正確に把握できるかどうかです。X1年度とその他有価証券については、確実に正答したいです。
第一問のボーダーラインは14点位になると思われます。

第二問

問題の内容は標準的ですが、ボリュームが多いです。
問1は、(1)は確実に正答したいです。(2)はセール・アンド・リースバック取引であり、さらにリース料を前払いしているため、比較的難しい内容です。
問2は、問1、問3と比較すると計算量は少ないため、ソフトウェアに関する取扱いを正確に押さえられていれば正答は可能です。
問3は、①は確実に正答したいです。②は除去費用の見積額が増加した場合の取扱いを正確に押さえられていれば正答は可能です。③は最終年度であることから、そこまでの計算の積み重ねが必要なため、正答は難しいと思います。
第二問のボーダーラインは13点位になると思われます。

第三問

問題の内容は比較的難しく、ボリュームは標準的です。商品売買などいくつかの項目は正答が難しいですが、有形固定資産、リース、退職給付引当金、為替予約、外貨建転換社債型新株予約権付社債は点数を取れると思います。
第三問のボーダーラインは22点位になると思われます。

合格ボーダー予想

全体のボーダーラインは49点位になると思われます。

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財務諸表論(理論)

主任講師 : 早谷 準一

第一問

包括利益をテーマに、これに関連する各会計基準を横断的に問うている。出題形式は昨年の第一問と同様、会計基準の空欄補充(昨年と一昨年は企業会計原則から出題)、該当する(または該当しない)項目の選択、会計基準の本質に関する出題、他の会計基準との関連が問う設問構造である。記述のボリュームも昨年同様多く、小問3から小問5をトータルすると16行に及ぶ。また、小問4と小問5では、同一の小問の中で、2つの論点が問われていることが特徴的である。
以上から、包括利益が出題予想の高ランクに位置付けられているとしても、難易度は昨年の第一問と比較すると上昇したものと思われる。

第二問

「外貨建取引等会計処理基準」に係わる本質的かつ基本論点を中心に出題された良問である。「外貨建取引等会計処理基準」については、平成15年度(第53回)に出題された以来、出題を見ていないため、本校では、かなりマークしておいたテーマである。ある程度網羅的に学習しておけば高得点も可能である。 いずれの問題も日頃の学習において、「なぜ、どうして」を自ら問いかけた本質的な学習を行っているかをテストしている感がうかがえる。
基本的かつオーソドックスな論点について確実に拾えているか、出題予想に流されず体系的な理解を踏まえ各論点を整理した学習が日頃からなされているかが合否の分岐点と考える。
推定されるボーダーラインは、本解答の配点を仮定すると、第一問は13~14点程度、第二問は6~7点程度である。

財務諸表論(計算)

主任講師:渡辺 光

第三問

計算問題については、昨年よりは問題量が少ないと思いますが、今回は製造業が出題されており、仕掛品及び製品の計算、税効果会計などの正答は時間内には難しいと想われます。従って、それ以外の箇所で出来るだけ正答するかが合否の鍵になると思います。
予想配点に基づくボ-ダ-ラインは35点程度と予想します。

合格ボーダー予想

全体のボ-ダ-ラインは合格率にもよりますが56点程度と予想します。

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消費税法

主任講師:佐々木 浩二

本試験お疲れ様でした。今年の試験は、理論2問(小問2題+小問6題)、計算(原則課税)という形式による出題でした。理論は前回の試験問題の出題形式と似てはいるが、難易度は易しく、解きやすい問題であった。事例の問題に関しては、取扱いが全て合っているのは合格の前提だと思われる。
計算は、個々の内容自体は、そこまで難しくないが、問題の不備、問題のミスが目立ち、受験生が困惑する問題であったと思われる。
問題の不備等、解答が割れてしまう部分が多々あるが、それ以外に正解できる部分を確実に拾えたかが合否を分けると思われる。

第一問

問1:個別理論であるため、いかに精度よく解答できたかがポイントになると思われる。
問2:個々の事例については、特に難しい取扱いはないため、取扱いのミスはしてはいけない。

第二問

問題の不備等により、課税標準額、課税売上割合等が正答できないと思われる。
合格ラインとしては、納税義務、前課税期間及び当課税期間の中間申告、売上対価の返還等、貸倒れ、調整対象固定資産の適用の有無(コメントを含む。)を正解していることが前提かと思われる。

合格ボーダー

合格ボーダーラインは、理論は問1が15点、問2が20点、計算が38点の計73点前後になるかと思われる。
予想合格確実ラインは、理論は問1が18点、問2が24点、計算が42点の計84点前後になるかと思われる。

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法人税法

主任講師:新山 高一

はじめに
受験生の皆さん、お疲れさまでした。 今年は、解答量が少ないため、驚いた受験生も多かったのではないでしょうか。 1か所の配点が非常に高いことが予想されることから、とれるところでしっかりととることが、まずはポイントになるかと思います。

全体の印象および解答上のポイント

第一問

問1:プリペイドカードに係る収益の計上時期を中心とする問題でした。 基本通達からの出題で、通達の内容をそのまま解答すると量が非常に多いため、端的に解答できたかがポイントになります。
問2:費用関係の取扱いを問うている問題でした。
(1)1は、少額減価償却資産に該当することは、タックスアンサーにも取り扱いが出てるものなので、そこはしっかりと解答できたかがポイントになります。
(1)2は、内容としては難しくないため、しっかりと解答できたかがポイントになります。
(2)は、基本的な取り扱いですが、原則が日割りとなることに気付いたかがポイントになります。

第二問

内容的にはそれほど難しくないですが、問題において資料が不足している箇所が何点かあるため、判断に迷った箇所がいくつかあったかと思います。 資料が不足している箇所としては、受取配当金(貸倒引当金が注記表示か、負債の部に計上か不明)、貸倒引当金(S社の破産手続開始の申立てがいつ行われたのか不明)、6の資料で出てくる機械装置(取得日が不明)、8の資料で出てくる売買目的外有価証券の評価損の金額(E社株式に係るものなのか不明)の4か所となります。 なので、それ以外のところは、解答できるようにしたいところです。

合格ボーダー予想

第一問  合格ライン33点(合格確実ライン40点)
第二問  合格ライン28点(合格確実ライン35点)
以上の合計で 61 点が総合の合格ラインとなり、合格確実ラインは75点と予想されます。

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所得税法

主任講師:志水 大介

本試験講評

受験生の皆さん、本試験お疲れ様でした。 今年の本試験は、理論は昨年度の税制改正項目である国外転出時課税と申告の関係を問う問題と事業の遂行上生じた債権以外の債権の損失の取扱いを問う問題であり、基本的には個別理論を解答するものでした。問1については、解答の項目挙げが多少難しく、問2については、ほぼ個別理論であるため、正確な解答をしなければならなかったと思います。ある程度予想できた範囲からの出題でしたので、時間内にしっかりと項目を挙げたうえで精度よく解答できたかどうかがポイントになったと思います。
一方、計算問題は、昨年度本試験よりさらに難易度が低い問題であり、満点に近い答案が要求された問題であったと思います。 本試験という緊張した中で解くとはいえ、あまり判断に迷うようなものも少なく、税理士試験の所得税法のレベルが格段に下がってしまったような印象を受けます。このような問題ですので、計算では受験生に差がつきづらく、合否は理論次第になると思います。 具体的に振り返ると次のとおりです。

第一問(理論)

理論用紙が4枚と2枚の組み合わせであり、分量なども加味すると、問1が35点、問2が15点の配点になるかと思います。

問1
国外転出時課税をテーマに、確定申告との関係を問う問題でした。 問われていること自体は、個別理論であるため、精度よく解答することができたかどうかがポイントになると思います。また、問題文においては、「平成28年分の所得についての所得税の手続」を問われていることから、出国後における確定申告についても、解答していた方が印象としてはよかったのではないかと思います。

問2
事業の遂行上生じた債権以外の債権の損失の取扱いを問う問題でした。
所得税法において、資産損失は重要論点であり、所得税法の特徴的な論点であるため、本試験においても頻繁に出題がなされています。よって、ほとんどの学生が解答できたのではないでしょうか。特に受験生に差がつくような論点ではないため、精度よく解答できていたかどうかがポイントになると思います。 また、模範解答のように概要を述べることができていれば印象としてはよいと思います。
全体として38点以上(問1が26点、問2が12点)をボーダーとして38点を確実ラインと予想します。

第二問(計算)

2問形式の出題であり、問1は不動産所得を中心とした総合問題、問2は雑損控除及び各損失の通算順序を問う問題でした。
問1及び問2とも難易度は低く、未納の予定納税額以外については、判断に迷うことなく解答できたと思います。このような問題の場合、受験経験等関係なく、初学者であってもある程度の解答をすることができることから、受験生に差がつくことがなく、差がついて数点の差であるため、計算で合否が決まるということはないと思います。 ケアレスミスなく解答し、余った時間を理論に充て、どれだけ理論で勝負できたかがポイントであったと思います。
今回の合格ラインは40点、確実ラインを46点とします。

合格ボーダー予想

理論と計算の合計で、合格ラインを78点、確実ライン85点とします。

総評

今回の試験は、上述のとおり計算では差がつかず、特に理論問題の問1勝負になると思います。 所得税の計算問題の難易度が格段に落ち、個別理論の問題で合否が決まるというのは、少し腑に落ちないといったところが正直な感想です。税理士としての高度な知識を有するかどうかを問う試験が税理士試験であるとするならば、今回の計算問題については、試験としてあまり意味がないような気がします。
いずれにしても、前年に引き続き基本の論点を、正確に、ケアレスミスなく正答できるかがポイントの試験であったことから、日頃の学習においても、そういった点を意識し、学習していたかがどうかが本試験において表れるのではないでしょうか。 以上を参考にしながら本試験を振り返ってみてください。 受験生の皆さん、1年間本当にお疲れ様でした。

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相続税法

主任講師:片桐 努

総評

受験生の皆様、大変お疲れ様でした。
第一問の理論問題は、問1が債務控除に関する事項をそれぞれ抜き出して解答する問題でした。解答自体は個別理論であるため、解答の精度が合否に大きく影響するのではないでしょうか。なお、所得税法に規定する国外転出時課税に関する事項については、改正項目でもあるため解答できることが望ましいですが、全体の分量からして完答は難しいと考えられます。この点については、それほど合否に影響はないでしょう。
問2は、相続税の期限内申告に関する事項をそれぞれ問う事例形式の問題でした。提出先、提出義務者、提出期限について、それぞれの項目を定めている規定を解答させる問題であり、課税対象者が増加したことに伴い、申告義務者が増加することを考慮しての基本的な事項を問う問題でした。解答としてはほぼ個別理論としての解答となるため、こちらも解答の精度が合否に大きく影響するのではないでしょうか。なお、納税地の個別理論に関しては、理論ランクとしてはそれほど高くしてはありませんでしたが、基本的な事項でもあり、それなりの解答ができれば充分であったと考えられます。

第二問の計算問題は、内容自体は簡単な問題でした。取引相場のない株式に関しては、第65回税理士試験とほぼ同じ内容が出題されているので、できれば正答したい箇所です。また、第65回税理士試験と同様、相続開始年分である平成28年分の贈与税の申告に関する取扱いも出題されています。特に、教育資金一括贈与の非課税制度の適用を受けている場合の終了時課税が、相続開始の前後に生じた場合の取扱いの差異も理解しているかが重要でした。この前後の課税関係については、答練期でも出題している項目なので、できればできてほしいところです。 また、全体の分量からして、後半の解答が難しいこともあり、それほど点数は伸びないのではないかと思われます。 基本的に簡単な問題であるからこそ、確実に間違えないで解答できたかが勝負の分かれ目になるのではないでしょうか。

全体の印象および解答上のポイント

第一問

問1:債務控除に関する事項をそれぞれ個別的に解答していく理論問題でした。
相続税の課税価格を計算する上での基本事項であり、各納税義務者の状況に応じて1.対象者となるか、2.控除対象となる債務はどこまでなのか、といった点が異なることになるため、これらの点をしっかりと理解しているかが重要だったと思います。 なお、近年の改正項目である「所得税法に規定する国外転出時課税についての納税猶予分の所得税額」に関する取扱いについては、全体の分量からして解答は難しく、また、所得税法に規定する事項を前提としているため、重要性はそこまで高くないと考えられます。
これらの点を考慮して、合格ラインは19点、合格確実ラインは21点になると予想されます。

問2:相続税の期限内申告に関する事例形式の問題でした。解答内容は、提出先、提出義務者、提出期限をそれぞれ解答していくものであり、ほぼ個別理論としての解答をしていくことになります。 なお、納税地に関しては、答練期でも出題をしておらず、理論ランクとしても重要なものとしてはいなかったので、あまり解答できなかったかもしれませんが、他の受験生もそこまで正確に解答できていないはずなので、ある程度の解答ができれば充分であったと考えられます。
これらの点を考慮して、合格ラインは17点、合格確実ラインは19点になると予想されます。

第二問

目新しい項目はそれ程なく、基本的な事項を理解しているとある程度は点数が取れる問題だと思います。
第65回税理士試験の計算問題とほぼ同様の内容での出題であったため、対策をしっかりとしていれば得点しやすい問題でした。 また、第65回税理士試験の問題と同様に相続人関連の論点として、女性が被相続人の場合の非嫡出子の判定が出題されました。この点については、しっかりと正答できるとよかったと思います。
ただし、全体的に分量は多めのため、最後まで解答しきれない受験生が多かったと予想されます。そのため、終盤の項目については点数が取りにくくなるため、合格ラインはそこまで高くならないと考えられます。
これらの点を考慮して、合格ラインは38点、合格確実ラインは43点になると予想されます。

合格ボーダー予想

第一問 合格ライン 36点  合格確実ライン 40点
第二問 合格ライン 38点  合格確実ライン 43点
以上から、第一問及び第二問の総合で合格ラインが74点、合格確実ラインが83点となると予想されます。

来年度以降の受験アドバイス

今回の相続税法の試験は、理論問題はほぼ個別理論としての解答でした。なので、しっかりと理論が押さえられていたかが重要でした。計算問題は、昨年の第65回税理士試験と同様の内容が多く出題されており、難易度としては易しめの問題でした。
なので、今回の理論問題の出題が個別理論に近い形式のものであったため、今後もしっかりと理論を押さえていく必要があると思います。そして、重要度が高く、かつ、分量も多い理論項目が出題予想されていくことを考慮すると、今後もしっかりと理論対策をしていかなければならないと思います。
また、近年の試験問題では、全くできないといった項目が出題されておらず、ある程度の経験値のある受験生であればしっかりと解答できる問題での出題が続いています。それでも、分量自体が多めであるため、いかにケアレスミスを少なくできるかが今後は重要となると考えられます。(ただし、次回からはまた別の試験委員が担当することになると予想されますので、今後もこの傾向が続くかどうかは未知数です。)
そのため、近年の試験問題で出題されている項目だけではなく、幅広く知識を深めていく必要があると思います。その上で、どれだけケアレスミスを減らしていけるかが重要となるため、普段からこういった点を確認しながら学習していくことをお勧めします。
既存の知識があるからといって、手を抜いていると取り返しがつかない状態になります。もう一度一からやり直すくらいの心づもりで来年の受験をすることが、合格に最も近くなる方法だということを認識しておいてください。

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※掲載内容は、専門学校 東京CPA会計学院・CPA税理士ゼミナールが独自に作成したものであり、実際の解答との適合を保証致しかねます。また、掲載内容は平成28年8月12日現在のものであり、今後予告なく変更を行う場合もございます。なお、掲載内容を利用したことによりいかなる損害が生じたとしても、当校は一切補償を行いません。以上の事項を予めご承認の上、ご利用下さい。

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